守ってきたものと指差すその先

  日向坂46のドキュメンタリー映画「3年目のデビュー」を観て、すごく良かったので即ブログを書く人を始めちゃっています。久々に感想レポしか取り柄の無いオタクだった頃の気持ちを思い出しました(笑) この後、内容何も隠さずに書いちゃうので、ネタバレが無理な方は各々配慮でお願いしますね。

 

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  全体の感想としてはすごく良くて、すごく”健全” な内容だったなって思います。すごく「テレビ的」だなって思いました。こう言うと多少悪く感じる側面もあるんですが、すごく肯定的な「テレビ的」感です。作品のタイトルにもありますけど、3年もあればまぁまぁ色んなことがあるし、皆さんも知ってる通り、事実色んなことがありました。その流れを観てる人に流し込むテンポと尺取りがとてもスムーズだったなって思います。多分、日向坂をよく知らない人が見ても終わった後にそこそこ以上に反応できるくらいには網羅しながら、日向坂をよく知ってる人がグッとくるポイントもまぶし込まれてる。その中で、どこかのポイントだけを強めにフォーカスすることがないから、知ってる人も知らない人も変な感じを覚えないような流れになってる。そんな感じがしました。その時点で大体もう文句はないですよね(笑) そんな感じなんで、ちょっと日向坂気になってるくらいの皆さんにもオススメできます。

 

  ここから、印象的なシーンをつらつらと。柿崎、ささくみ、小坂と日向坂の話をしています。

 

  まずは柿崎。僕は何度も惜しいなあと言ってましたが、やっぱり柿崎芽実が離れていくことになった運命が本当に惜しいです。20人もいて、その中に順列があれば、何か大きなことが起こったときに反意の人が1人はいてもまったくおかしくはないですよね。その1人が柿崎芽実だったという運命が本当に惜しい。ぶりっ子という目に見えるキャラとセンター適性という目に見えない才能、そしてその中に確実な熱意があった。別に他の誰だったら良かったとかじゃなくて、たまたまその運命に選ばれてしまったという事実が本当に惜しいです。加藤も話してましたが、「後悔だけど、しょうがない」、ほんとにこれ。正解を導く道が無かった後悔、って本当にしんどいですよね。だからこれは「運命」、このグループで唯一の ”哀しい残念” だったと思います。

 

  柿崎が最後の握手会で挨拶したとき、耐えられなくなって泣き崩れた佐々木久美、僕はここで一番泣きました。ここの感情がわかりすぎました。「守りたかった守ってきたものが守れなかった」、それが『最後』という言葉に反応して、そんな想いだっただろうなと。崩されちゃいけない瞬間、訪れちゃいけない感情、そう想いながらそれを人一倍抱えて、ずっと守り続けながら道を拓いてきた主人公だと思います。そう思うと、この瞬間に感情移入せずにはいられなくなりました。その後に、濱岸が復帰したときのライブのMCで、少し声を濁らせたシーンもありましたよね。ここ単独で見ても佐々木久美の想いはみんな汲み取れるものでしたけど、この柿崎のシーンと対に見せられると、「守りたかったものを守れた」濱岸のシーンに、よりグッときてしまいました。彼女のような人がキャプテンとして存在していて、本当に嬉しいです。彼女を語ると、嬉しいの言葉に込められた中身はたくさんのことがありますけど、全部引っくるめて嬉しいという言葉が良い気がします。なんなら羨ましいですよね!僕はアイドルでもなんでもないですが(笑)

 

  あと、武道館単独前のスタッフへの挨拶のシーン。あの局面を迎えている中で「勝ちに行きたいので」なんて言われたら、僕がスタッフならめちゃくちゃ燃えますね。この子たちに絶対に笑って成功させたいって心の底から思うだろうなぁと思います。チームのリーダーって、中の面倒を見るだけじゃ良いリーダーなんて言えません。それだけじゃないシーンを、ドキュメンタリーとして見せられるくらいのポイントで為しているのが素晴らしすぎる。ほんと、キャプテン佐々木久美、好きすぎますほんと。

 

  そんな佐々木久美を中心にひらがなけやきからのチームが語られながら、日向坂としては小坂を中心に語られました。小坂が抱えてた重みの話は言わずもがなと思いますが、「小坂が不在の日向坂」が同じくらいのボリュームで使われているのが印象的でした。不動のセンターの代理って普通 ”センターの代役” とだけで考えるから、それまでの経験者とかその時点のグループとしての2番手とかを当て嵌めがちかと思います。そうじゃなくて、シンプルに ”その曲の2番手を繰り上げる” 形で代役立ててきたのってすごく良い選択だったなって改めて感じます。特に同じ2期生のメンバーが代役してきたのが、真相は結果論的だったとしても、すごく小坂と小坂を表にしてきたチームとしても意味あることだっただろうと思います。変な言い方ですけど、分散できたって感じですかね。これ加藤であれ1期生だと意味は全然違うと思いますよね。小坂の代わりが丹生と河田だったことに意味がある。そんな機会を与える側の期待と、それをプラスに循環させた与えられた側の成長が、小坂を起点にして気持ち良く流れていたなと感じました。こういう話にするとメンバーというより運営の話に寄っちゃいますけど、日向坂になってからの運営側の選択って、全部意味あるところに繋げている気がします。

 

  メンバーに沿いながらチームをずっと語ってきた中で、最後の最後に ”曲” がこのチームを語ることになります。それが『約束の卵』と『青春の馬』。約束の卵、しかもひなくり2019の約束の卵は正直日向坂ファンの必修科目的なところがあるのであれですけど、青春の馬はドキュメンタリーならではのシーンですごくグッときました。日頃誰もが接してる音楽の力が「曲」と「パフォーマンス」の2つに依るものだとしたら、僕はこの2つは足し算じゃなくて掛け算だと思ってます。そうやって僕らは好きな曲をライブでもっと好きになるんですけど、曲とパフォーマンスを与えられるアーティストがその与えられた時点でその掛け算を胸にしてるとこを見たら、この曲を余計に好きにならざるを得ないですよね。多くのメンバーの涙が共鳴だとしたら、パフォーマンスを含めたこの曲が私たち日向坂のそのものであると理解した、そんなメッセージだったとすると、最後の最後にここまで大きく無かったドキュメンタリーチックな投げかけが来たなと。僕たちはこのシーンを見て、この曲が日向坂の根幹だと理解したことになるわけです。そう思うと、大きな大きな曲になりました。

 

  ”希望をもって背中を押す” ことを自分たちの軸にするのって、他のアーティストだとよくあることだと思います。でも、それをメインに言うアイドルがいるかと言われたら答えられないくらい微妙ですよね。日向坂が、そんな ”王道なシンプルさ” を軸に持つアイドルになるんだとしたら、僕はすごくすごく好きです。大きくブレることなく、絶対に外すことのない期待が持てます。グループだからより意味合いを強められるものというのもすごくすごく熱くなります。そんな決心のようなものを少し垣間見れただけでも、進行形の ”今” を見ることができて良かったなと感じます。

 

  最後に、振付師のTAKAHIROさんが言っていた「日向坂は、課題があってもみんなで包み込むことで、みんなで守ってきた」というコメント、まるでこのドキュメンタリーの締めの様な言葉でした。映像中、色んなメンバーが色んなタイミングで「このグループこのメンバーが大好き」って言います。見る側がグループや集団を見る時って、チームワークの良さを垣間見るとグッときますよね。とはいえファンは、だからみんな仲良くしてねとは言えないので、自然とそうなってる状態を知るとすごく好きになり愛着が湧きます。このドキュメンタリーはそれを、色んな局面を切り取りながら、見させられます。そして、その局面ごとの結果だけじゃなくて、通した課程として見させられます。見させられるというのは文句じゃないですよ、賞賛です。この作品が表しているのは誰が見ても良いなって思うこの集団美。これに一貫していて、事実としてメンバーも一体としてそう想ってることが見受けられる。日向坂が守り抜いて見えたその先を、僕たちファンも同じ様に見て、希望を持って背中を押せたら最高ですよね。

 

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おまけ

  最後の終わりが “陽” を胸にするカットなのがすごい良いですよね。エモ。ズルい監督ですね。

  あと僕今、渡邉美穂キャプテンシーみたいな人間力賢いところがすごく気になってるんですけど、この作中では目立ったところは無かったとは言え、各所で使われてるコメントカットの発言がすごく芯があってその状況にしっかり食ってる強い発言なのがやっぱり好きでした。好きでしたというのを伝えたいだけです(笑) 佐々木久美と渡邉美穂、僕は最近この2人を見ながらキャプテンシーとかリーダー力みたいなのをよく考えます。これ、乃木坂ではまったく考えることのなかったコトなので楽しいです。

  あとあと、DASADAライブの金村センターの青春の馬、見たことない人はこの映画絶対見に行った方がいいですよ!!!!!